たった一度のモテ期なら。
ちょっと説明しづらい終わり方だった。微笑んでごまかしたい私に、綾香が明るく声をかけてくれる。

「次行けばいいよね」

「うん、でも今恋愛ってそんなに興味ないかな」

「何言ってんの、私達今が花盛りだよ?」

「自分で言うかな」

「丸野が影森ちゃんに手本を示さないと説得力がないな」

綾香がとばっちりで責められ始める。

「私の基準に達する相手がいないのよ」

きっぱり言い切っても、営業二課の貴公子ならどう思うとか、勝手に社内人脈をオススメされて嫌な顔をしている。


綾香は入社当時この中の何人かのアプローチを受けていたらしい。でも全く眼中にないと言い放って、全員平等な友達付き合いに持ち込んだ。

その後結局彼氏ができていないから、諦めきれない人もいるんだろう。

「私はいいの。奈緒は恋愛体質なんだからさ、次行かなくちゃ」

私が恋愛体質? 確かにずっと彼氏はいたけれど長く続いていただけだから、恋愛が得意とかじゃないんだけど。


「まあでも、ちょっとわかる」

といつの間にかビール片手に斜め後ろに立っていた西山が言う。

「恋愛に今そんなに労力を割けないというか」

そう、そんな感じ、と私も頷く。

「どこのじいさんだよ。俺は彼女が欲しいんだよ!」

いかつい顔で声の大きい原ちゃんが、テーブルを揺らす勢いで吠えた。

「はいはい。わかったから、原ちゃん。がんばれ」

彼女持ちの同期になだめるように肩を叩かれた原ちゃんは、突然私に向かって乗り出す。

「影森、俺なら近くにいるし労力割くよ」

「うーん、どうだろ。なんか違う気がするけど」

「……微妙なマジレスすんなよぉ。へこむだろ」

あれ、どうしよう。求められる反応がちょっとわからない。

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