たった一度のモテ期なら。
「変に仲間内やめとけよ」

西山が笑いつつも軽くくぎを刺した。

「だからなんでマジ扱い?もっと軽く振ってくれよ」

「無理。原の彼女欲しいオーラ重すぎるんだよ」

西山に追い詰められた原ちゃんを、みんなが笑った。




勘の鈍い私にだってわかってるのは、この集団をさりげなくまとめてるのは西山だってこと。

大騒ぎするわけでも仕切るわけでもないのに、この人がいないと場が締まらない。

そんな存在感が仕事でも発揮されるのか、営業のトップが集められる一課に今年抜擢された。

誰かがさっき言っていた通り、西山は入社3年目が終わろうとする私たちの希望の星なんだ。




みんなの話がそれた頃、斜め後ろにだけ聞こえるように身体をずらしてこそっと謝った。

「ごめんね、いつも空気とか読むの下手で」

「ばーか、そんなの気にすんな」

私の肩をグーで叩いてくる西山は、なんだかんだとみんなに優しい。

正直に言えばね、彼氏と話しても同期の仲間と比べてなんとなく面白くないなって随分前から気づいてた。

別に同期の誰かに恋愛感情があるわけじゃなくて。ここの友達は楽しくて、気の利かない私を許してくれるから。

大事な友達だから、西山が言うみたいに仲間内でゴタゴタしないほうがいいんだろうって私も思う。

綾香ならともかく私にアプローチしてくる人なんていないから、要らぬ心配かな。



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