たった一度のモテ期なら。
その時バイブレーションに気づいた。綾香に相談しようか迷って、ポケットにスマホが入れっぱなしだった。

もしかしてと恐る恐る覗くとやっぱり小林くんからで『体調は大丈夫?』から始まるメッセージが入っているようだった。

アプリで開かず、やっぱり綾香に声をかけることにした。

あのとき話していた様子からして、綾香は私にうんざりしている。でも私には見えない状況が綾香には見えているはずだから、反省して助けを求めよう。




久しぶりの会議室ランチは、綾香リクエストのから揚げ弁当。あれ以来少し綾香に避けられてる気もしていたけれど、相談には気軽に応じてくれた。

「奈緒と話すの久しぶりじゃない? 落ち着いたの?」

「うん、北尾さん達はまだまだ忙しそうだけど」

「で、相談って?」

「小林くんと2人で会うのをやめたいと思ってて。感じ悪くならないようにそれとなく伝えられないかなと思っていて」

言ってて最悪だなぁと思う。綾香は「ふーん」とだけ相槌を打った。

「わかってる。私が中途半端にしてたのが悪い。気を持たせるそぶりをしちゃったのかなとも反省してる。でもやっぱり付き合えないと思って」

ああ、と綾香は暗い声でゆっくりと髪をかき上げる。

「聞かれちゃったんだよね。西山に怒られたよ。奈緒にもこれで嫌われたかなって思ってた」

西山に?

「奈緒には口出すなって言われたけどとかブツブツ言ってた。言い訳はしないけど、ごめん」

2人で同じことを言うんだなぁ、と思った。西山には全部忘れてって言ったのに、とも。
< 71 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop