【完】俺がずっと、そばにいる。
こんなことしか言えないけれど、少しでも彼女の不安が和らいだらいいなって思った。
するとそこで琴子が思い出したように。
「あ、そういえば準に聞いたんだけど、最近柚月、常盤(ときわ)高でも有名らしいよ」
「へっ!?」
常盤高っていうのは、佐伯君が通っている高校の名前だ。
うちの学校から歩いて数百メートルほどのところにある。
「春瀬ひまり似のめちゃくちゃ可愛い子が桜坂(さくらざか)高校にいるらしいって話題になってるんだって。彼女通じて合コン組んでくれって準が頼まれたらしいけど、断ってもらったから」
「うそ~っ……」
聞いた瞬間思わず顔が歪む。
なにそれ……。何で他校の人までが私のことを知ってるんだろう。
ちょっと芸能人に似てるっていうだけで、すぐ話題にされてしまうのは勘弁してほしいなぁ。
「あ、ありがとう。合コンは、いいや……」
「だよね。困るでしょ?」
「うん。断ってくれて助かった」
「なんか色々大変だよねぇ、柚月も」
琴子がしみじみとした顔で言う。