記憶を失くした総長
麗華side
律「バイバイ!……また来いよ!」
小さなその姿が見えなくなるまで手を振り続ける。
りつくんを最後にこの場所には私と目の前のグランドピアノだけとなった。
昴さんの言ったことを破り包帯を外して過ごしたから少し頭が痛い。
ピアノの蓋を閉じ、せめてソファーで寝ようと思ったが、訪れた眠気のせいで力尽きピアノの蓋に頭を預けることとなった。
___どれくらい寝たのだろう、ふと目を覚ますと雨が強まっていた。
そしていつの間にかソファーに移動させられブランケットが掛けられている。
「…起きたんだね。」
ん…?
頭上から聞こえた気が…
『って、んん!?』
どうしてこうなったのだろう、膝枕されている。
影になって顔がよく見えないその人のするネクタイは確か、
『紅花院高校の、』
「…あぁ、よくご存知で。」
それは転入する時に蒼高校と姉妹校である紅花院高校も目を通したから。
で、何故膝枕状態なのか。
「…ピアノのところで寝ていたから体が冷えると良くないと思ってソファーに移動させたんだよ。寒くない?」
まだ春先だからね、そう言う彼の顔は影になっていてよく見えない。
『大丈夫、ありがとう。』
恥ずかしくなって起きようとしたら背を支えて手伝ってくれた。
『如月麗華です。よろしく。』
「あぁ俺は慎都。呼び捨てでいいよ。」
私もそれで、と握手する。
___その手には思い出があるような気がして握り続けてしまう。
目の前にいる慎都が顔を曇らせていたことは私は気づかなかった。
麗華sideend
律「バイバイ!……また来いよ!」
小さなその姿が見えなくなるまで手を振り続ける。
りつくんを最後にこの場所には私と目の前のグランドピアノだけとなった。
昴さんの言ったことを破り包帯を外して過ごしたから少し頭が痛い。
ピアノの蓋を閉じ、せめてソファーで寝ようと思ったが、訪れた眠気のせいで力尽きピアノの蓋に頭を預けることとなった。
___どれくらい寝たのだろう、ふと目を覚ますと雨が強まっていた。
そしていつの間にかソファーに移動させられブランケットが掛けられている。
「…起きたんだね。」
ん…?
頭上から聞こえた気が…
『って、んん!?』
どうしてこうなったのだろう、膝枕されている。
影になって顔がよく見えないその人のするネクタイは確か、
『紅花院高校の、』
「…あぁ、よくご存知で。」
それは転入する時に蒼高校と姉妹校である紅花院高校も目を通したから。
で、何故膝枕状態なのか。
「…ピアノのところで寝ていたから体が冷えると良くないと思ってソファーに移動させたんだよ。寒くない?」
まだ春先だからね、そう言う彼の顔は影になっていてよく見えない。
『大丈夫、ありがとう。』
恥ずかしくなって起きようとしたら背を支えて手伝ってくれた。
『如月麗華です。よろしく。』
「あぁ俺は慎都。呼び捨てでいいよ。」
私もそれで、と握手する。
___その手には思い出があるような気がして握り続けてしまう。
目の前にいる慎都が顔を曇らせていたことは私は気づかなかった。
麗華sideend