記憶を失くした総長
慎都side

俺は、というと握手した手が離されずビックリしていた。
このままじゃボロが出そうだったので自分から手を離す。

麗「…!ああ、ごめんね慎都。」

触れられた場所が熱い。
久しぶりだからしょうがないなんて言い訳するつもりは無いが、また会えたことに喜びを感じていた。
30分前、23階に来るとホールにあるグランドピアノの蓋を枕に寝ている人がいた。

それにも驚いたが、その人物が麗華であったことも驚きのひとつ。
今、病院にいる事など母さんは言ってなかったのに。

ソファーに移動させ、目が覚めるまで懐かしんで見ていようと思ったのだが、その時間は意外と短った。
久しぶりの麗華をずっと見ていたことがバレたら恥ずかしい。
ふと、麗華の手にはぐちゃぐちゃと丸められた包帯が。

慎「…麗華、その包帯はどこのを外したの?
巻かないとだよね?」

おもむろに肩を揺らした麗華。
手先が不器用であるのは相変わらずのようだ。

慎「貸して。俺が巻くよ。」
< 169 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop