寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「き、気のせいです」


何気なく見た社長室の壁掛け時計が十二時を回っていることに気づき、「あ、お、お昼ですね」と立ち上がる。


「すぐにお弁当を持ってきます」


そそくさと社長室を出る間際、風見さんが肩を震わせているのが見えた。
見つめただけで顔を赤らめるなんて、あまりにも子供っぽい反応だったかと心配になる。

風見さんの相手をするならば、もっと大人の女性らしい反応がしたいのに、どうしたって無理なこと。恋愛経験は浅いし、男性経験も少ない。

そこで不意に風見さんとのキスシーンが蘇って、さらに顔が熱くなる。

そうしてロッカールームから小走りで出ると、途中で副社長と出くわした。
立ち止まり、気取った姿勢でお辞儀をする。


「初日とは雰囲気が随分と違うね。別人かと思ったよ。それになんだか印象も違う」


副社長は私を上から下までざっと眺めたあと、目を細めた。
どことなく人を威圧する風見さんと違って、副社長は見るからに優しい印象がある。

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