寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「田丸さんから聞かなかった? 兄弟で紛らわしいから、風見副社長じゃなく名前で呼ぶようにって」

「あっ……」


口に手を当て息を呑む。
すっかり忘れていた。


「琢磨さん、ですよね? それとも琢磨副社長のほうがよろしいでしょうか?」

「副社長は付けなくてもいいよ。みんなそう呼んでるから」


にっこり笑う琢磨さんに「承知いたしました」と言うと、不意に私の手元に目線を落とした。


「それ、弁当?」

「あ、はい、そうです」

「ふたつあるけど……」


彼の瞳が訝しげに揺れる。


「これは……」


社長の分だと素直に言ってもいいものなのか。それとも、それは出過ぎた真似だと嫌悪されるか。

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