寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

そこでふと考えた。
ひょっとしたら琢磨さんは、いろんな女性をあのデパートの特別室に連れて行っているのかもしれない。
兄である風見さんが、そこを深く追求されたくないと思っても不思議はないんじゃないか。


「……変なことを聞いてすみませんでした。ところで、味はどうですか? 厚揚げ入りバラ肉の味噌炒め、初めて作ってみたんですけど」


居心地が悪くなったので話題を逸らした。


「茜の作るものでマズイと思ったものはない」


風見さんの嬉しいひと言で、どことなく重苦しかった空気が吹き飛ぶ。


「お世辞でも嬉しいです」

「俺はお世辞は言わない主義だ」


風見さんがムッとする。


「それじゃ素直に喜ぶことにします。ありがとうございます」


嬉しさを隠し切れず頬が緩んで、ニコニコとするのを止められない。
いつもより手を加えて作った甲斐があった。

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