寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「これを食べ終えたら出掛けるぞ」
「はい。【ミヤコ】さんとのお約束ですよね」
老舗小売業のクライアントだ。日本でも五本の指に数えられる大手の総合スーパー。
午後の訪問を前にざっと調べたところ、ここ数年の業績は芳しくない。
これまで別の人が担当していたクライアントらしいが、アメリカで敏腕を奮っていた社長にお願いしたいと、ミヤコの社長直々に風見さんに依頼があったそうだ。
アメリカで小売業を受け持つことが多かった風見さんの噂を耳にしたのだろう。
そこに私も同行することになっていた。
初めてのクライアント先ということもあって、どうしたって緊張する。
風見さんの足を引っ張らないように心がけなきゃ。
ひとりひっそりと決意しながら、お弁当を食べた。
寺内さんの運転する車で向かったミヤコ本社は、会社から三十分ほどのところにあった。
地上十五階建てで全面ミラーガラスのビルは、午後の日差しを受けて眩しいほどに乱反射していた。
「行くぞ」
風見さんに頷き、回転扉をくぐる。