寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「会社に戻らなくて大丈夫なんですか?」

「どのみち戻ったところで五時は回ってる」


確認した腕時計は、風見さんの言うようにあと少しで五時を指し示している。
退勤時間は五時半だから、私は戻ったらすぐに帰るような時間だ。

でも忙しい風見さんは大丈夫なのかな。
そんなことを考えていると、風見さんは「心配するな」と言って私の頭を手の甲でコツンとやった。


「たまには体を動かしておかないとな」

「なにかスポーツでもされるんですか?」

「それは行ってのお楽しみだ」


風見さんは意味深に笑った。
どこへなにをしに行くのかわからないまま、車はなぜかマンションの前で停められた。


「えっ、ここマンションですけど……?」


窓に手を当ててキョロキョロとする。


「ここでいいんだ」


風見さんは足を組んだ余裕のポーズだ。

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