寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「ずっとフリーターだったんだけど、少し前からやっと正社員で……」
それも今後はどうしようかと悩みの種だ。
このまま理玖さんの下で働いていけるかどうかはわからない。
「そうなんだぁ。やっぱり東京で暮らすと違うよね。茜が華やかに見える」
「そんなこと全然……」
「前に会ったときとは別人に見えるよ」
少し前の私だったら、今日の披露宴にもリクルートスーツで来るしかなかっただろう。
理玖さんに出会ってからというもの、そのときとは考えられないくらいに生活が一変した。
それももう終わりを迎えるからか、幸せな結婚をしている友人が眩しくて仕方がない。
「彼氏は?」
「……ううん、いない」
結婚なんて遠い遠い話だ。
愛美としゃべっているところへ、新婦の祐子がキラキラした顔でやってきた。
「おめでとう、祐子」
「ありがとう」