寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
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翌日、私は電車を乗り継ぎ、高校時代の友人の結婚式に出席するため、実家のある宮城へと帰って来ていた。
二ヶ月前に招待状が届いたときには、どうやってご祝儀を出そうか頭を悩ませていたけれど、初めてもらった給料でなんとか賄うことで無事に解決。
その上、結婚式で着られるドレスは理玖さんが買ってくれてしまった。
薄いピンクと黒のバイカラーワンピースは、理玖さんのスーツと同じくイタリアのブランド物。
祝儀と交通費でお金がかかるだろうからという、理玖さんの計らいによるものだった。
エイミーさんという恋人の存在をもっと早く知っていれば、それらも全部辞退したのに。
披露宴は街で唯一あるホテルの中庭で、立食形式で盛大に行なわれていた。
真っ白い外観は、白亜の御殿と言われている。街の中心に建つそのホテルは、この辺では高級と言われるホテルだ。
招待されている同級生六人のうち四人は地元で結婚し、すでに子供もいる。
ひとりは婚約者がいると聞いたから、独り身は私だけだ。
「東京での生活はどうなの?」
一児の母になったばかりの愛美が、料理を食べながら私に尋ねる。