寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
◇◇◇
マンションで理玖さんを待っているうちに、夜の九時を回ってしまった。
すっかり冷めてしまった夕食を前に、私はまんじりともせず座っていた。
理玖さんと足立社長の間に、いったいどんな話がされているのか。
ミヤコはうちのクライアントになって長く、そのコンサルタント料もかなり高額になっている。ミヤコの紹介で繋がりのある会社も多いから、なにかトラブルがあったのなら一大事だ。
そんなことをぐるぐると考えながら待っていると、ようやく玄関のドアが開ける音が聞こえた。
立ち上がりそちらへ急ぐ。
「おかえりなさい」
「ただいま」
理玖さんは軽く微笑むものの、明らかに疲れた様子だった。
「大丈夫ですか?」
「ああ」
ネクタイを緩めながらリビングへ入り、ソファに深く腰を下ろして大きく息を吐く。