寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「ご飯できてますけど、先にお風呂に入りますか?」
私が聞くと、理玖さんはふっと柔らかく笑った。
「新婚家庭みたいだな」
そう言われて、耳が熱くなる。
言われてみれば本当だ。
でも、結婚を意識している重い女と思われたくない。
「それなら、“それとも私?”って言わなきゃダメですね」
茶化してしまおうと思って笑いながら言うと、理玖さんは目に笑みを浮かべた。
「そうする」
「えっ?」
すぐさま手を取られ、理玖さんの膝の上に横向きで座る格好になる。
「茜からにする」
真顔で言ってから、私の髪をすくうようにして後頭部に手を当てた。