寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「琢磨さんって、私が社長に不釣り合いだから私のことを遠ざけようとしていましたよね?」
やたらと私に構って、理玖さんから意識を逸らそうとしていたはず。
だから私にキスをしたのだろう。
それが今はどちらかというと、私たちのことを心配してくれているようにすら感じる。
琢磨さんが鼻を鳴らして笑う。
「なにそれ。茜ちゃんが兄貴に不釣り合いだからって俺が?」
「はい」
自分の胸を指差して目を丸くする琢磨さんに、私は大真面目に頷く。
「ないないない。だいたい不釣り合いって、どういった面をもってして不釣り合いとか言うんだよ」
「家柄だとか見た目とか……そのほかにもいろいろです。私の実家は吹けば飛ぶような小さな町工場ですから」
クスクスと声を立てて琢磨さんが笑う。
「……笑わなくてもいいと思うんですけど」
唇を尖らせて琢磨さんを軽く睨む。