寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

そして、コンサルティングを事業としている理玖さんがそこに加われば、怖いものはないと考えたのか。


「さっき足立社長が、『いい話も持ってきた』ともおっしゃっていました……」


それはなんだというのだろう。
理玖さんが結婚を承諾したくなるような、好条件の話には違いない。


「おそらく他の企業をいくつか紹介するつもりなんだろう。それも大企業と呼ばれる部類のね。とにかく強敵だよ、茜ちゃん」


一度お断りしたと理玖さんは言っていたけれど、ミヤコは大きなクライアントで、月に何度かミヤコの社員に研修も実施している。
そこの社長にぜひにと言われた縁談を断ることができるのか……。
途方もない心配事が持ち上がり、立っていることすらつらくなってくる。


「茜ちゃん、もう帰るんだろう? 送って行こうか?」

「……いえ、平気です。ひとりで帰れます」


琢磨さんといれば気が紛れるかもしれないけれど、ひとりでじっくり考えたい。
そこでふと、あることを思い出した。

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