寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「……そんな顔してたんですか?」
「してた」
琢磨さんがニヤッと笑う。
言われてみれば、そうかもしれない。
でも、相当手強い相手だと言われれば、自然とそうなってしまう。
「これまでの私の人生は、アンラッキーを吸い寄せてばかりだったんです。それが社長と出会って自分に自信を持てるようになって……」
今までパッとしなかった毎日が、百八十度変わってキラキラしたものに。
片づけなんていう地味な特技を最高の才能だって褒めてもらえて、嬉しくてたまらなかった。
「やっとハッピースパイラルに乗れたんです」
「そう」
琢磨さんはニコニコと笑いながら私の話をじっと聞いてくれていた。
「社長はどうなるんでしょうか……」
「兄貴がなにを選ぶか、だろうね」
頭の中で琢磨さんの言葉を反芻する。
その選択肢にはなにがあるの?
「ともかく帰ろう。送るよ」
「……いえ、大丈夫です。ひとりで帰りたい気分なので」
「ほんと茜ちゃんはつれないな」
琢磨さんは不満そうに呟くと、それ以上は私に無理強いをしなかった。