寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
◇◇◇
お昼を食べて私が真っ先に向かったのは、琢磨さんのいる副社長室だった。
沙智さんは不在で、琢磨さんは手前の部屋でコーヒーを自分で入れていた。
「珍しい人が来たね」
「お忙しいところ申し訳ありません」
「茜ちゃんなら大歓迎だよ。コーヒー飲む?」
いつもの軽い調子が見せかけのように感じるのは、たった今私が聞いてきたばかりの重大な話のせいだろう。
その証拠に、琢磨さんの口角は上がっているけれど目が笑っていない。
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
「茜ちゃんが自ら俺のところに来るなんて。あ、もしかして兄貴はやめて俺にするとかそういう話? それならますます大歓迎」
私が表情を崩せないでいると、琢磨さんは急に真顔になった。
「ミヤコがオリオンコミュニケーションズを打ち切るって聞きました」
「茜ちゃんの耳にも入ったのか」