寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「社長がミヤコの令嬢との結婚を断ったから、ミヤコがうちとの契約を打ち切るって話らしい」
「え!? 結婚を断ったから打ち切り?」
沙智さんと同じような声が、あちらこちらから上がる。
私は彼女の向かいの席で人知れず息を吸い込んだ。
それでは、まるで報復だ。
琢磨さんが手強いと言っていた意味がわかった気がした。
「それ、本当なの?」
「電話を受けた部長が、顔色を変えて琢磨さんのところに行ったらしいよ」
おそらく理玖さんが出張で不在だから、琢磨さんのところへ行ったのだろう。
大口のクライアントが手を引くという話を聞けば、会社が危ないと思って当然かもしれない。
「それでどうなったの?」
「そこまでは俺にもわからないな」
話してくれた男性社員が去ると、広げたお弁当に手も付けず、沙智さんと私はしばらく黙り込んだ。
「茜、大丈夫?」
「……はい」
そうは答えたものの、浮かべた笑顔が引きつる。
私のせいだと思わずにはいられなかった。