寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
◇◇◇
その夜、理玖さんが出張から帰ってきたのは、夜の十時を過ぎた頃だった。
お腹が空いたという理玖さんに夜食を熱望され、私はいつかのちくわ丼を作ってあげた。
「懐かしいな」
理玖さんが嬉しそうに目を細める。
「ちょうどちくわがあったので」
理玖さんは軽く七味を振りかけ、「いただきます」と箸をつけた。
「うまいな、やっぱり。これで五十円とは思えない」
「よく覚えてますね」
感心してしまった。
理玖さんが私のアパートに迷い込んだときに、そんな話をしたことを思い出して懐かしくなる。
「衝撃的だったからな」
「理玖さんにしてみたらそうでしょうね」
「そういう言い方はよせ」