寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
まさかその会社を受けて結果を待っているところだとは言えない。
最終の役員面接のときの面接官は確か専務だったと思うけど、緊張してしまって全然手ごたえがなかったから、きっと不合格だろう。
コース料理がひとつずつ運ばれ、和らいでいた緊張が再び襲う。マナーはあやふやだ。
「ここは個室だから、あまり細かいことは気にする必要はない」
私の戸惑いを察知したのか、風見さんがフォローしてくれた。
「……ありがとうございます」
そう言ってもらえると、とてもありがたい。
おずおずとナイフとフォークを握った。
「早速、お礼の話をしたいんだけど」
「え? お礼はこの食事じゃ……?」
「これもその一環だが、本題は別にある」
……え? これとは別?
理解に苦しむことを言われて面食らう。