寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「どうだ、いい話だと思うんだが。幸い部屋なら余ってる」
風見さんの言う通り、私にはおいしすぎる話だ。
あのタワーマンションに暮らせる上、家賃などの費用の心配もない。その上食費まで面倒をみてくれるなんて……。
これまで不運続きだった私には信じられないような展開だった。
もしかしたら……負のスパイラルを抜け出すチャンスじゃないのかな……?
ふとそんなことを考える。
さんざん下降を続けてきた私の運勢を上昇させるには、普通なら考えられないような話に乗ってみるのも手かもしれない。
これをきっかけとしてハッピーな私になれる機会なのかも。
うしろ向きになっていた気持ちが、ほんのちょっと前を向く。
「……よろしくお願いします」
すっと立ち上がり、私は頭を下げた。