寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
スーツ姿で五番街を颯爽と歩く風見さんを想像するだけで、様になっているなぁと思ってしまう。きっと現地の人に見劣りもしないだろう。
「茜さん、海外は?」
「大学の卒業旅行でグアムに一度だけ。それからは縁がないです」
毎日の生活でいっぱいいっぱいだったから、行こうとすら思わなかった。
「風見さんはあちこちに行かれてるんですか?」
「事業所が海外に点在してるからね」
海外のあちらこちらに事業所が……。壮大すぎてもはや想像すらできない。
「私とは住む世界が違いますね」
このマンションも仕事も、まったく別世界の出来事に聞こえる。
「同じ日本に暮らしていて、住む世界が違うもなにもないだろう」
ポケットに片手を入れた優雅な立ち姿で、風見さんは軽く微笑んだ。