寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「テンパっているように見えたということか」
「いえ、そういうことではありません」
「俺もまだまだだな。忙しそうに見られるのは好きではない」
風見さんはそう言って顔を上げ、無造作に書類とタブレットをシートへ置いた。
「余裕を持って優雅に仕事をこなすよう努めているつもりなんだが」
余裕を持って優雅に……?
大きな会社の社長なのだから、忙しくて当然なのに。
変なことを言うものだと、思わずクスッと笑ってしまった。
「……なんだ。なにがおかしい」
風見さんが憮然とする。
「ごめんなさい。でも、忙しそうでも風見さんはちゃんと優雅に見えますから大丈夫です」
私がそう言うと、風見さんは軽く鼻を鳴らして目を逸らした。気のせいか耳が赤い。
風見さんでも照れることがあるのは意外だった。