寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「こ、こんにちは。あの、今日からこちらでお世話になることになりました。よろしくお願いします」
頭を上げ下げする。
「はい、つい先ほど理玖様からお話は伺いました」
寺内さんは穏やかに頷いた。
風見さんは後部座席のドアを開けて私に乗るように言い、自分もすぐに乗り込んだ。
聞いたところによると、寺内さんは先代の社長の運転手として風見さんが幼い頃から仕えていたらしい。
走り出した車は、街の中をゆっくりと進んでいく。
広い車内の左右に分かれた座席に座った私たち。
ぼんやりと座っているだけの私に対し、風見さんは持ってきた書類に忙しなく目を通したり、タブレットを操作していた。
「あの……お忙しいのによかったんですか?」
私の洋服を一緒に買いに行くほど、時間に余裕があるようには見えない。
風見さんは顔を書類へ向けたまま、目だけで私を見た。