寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「どうした」
「あ、いえ、全然実感がないんです」
「実感?」
「風見さんの恋人になった実感です」
未だに信じられず、ドッキリなんじゃないかとすら思ってしまう。
向かいに座っていた風見さんが不意に私の隣のシートに移動し、膝に置いていた私の手を取った。
ビクンと肩が弾み、緊張を強いられる。
「茜、こっちを向け」
言われておそるおそる顔を向けると、すぐ近くに風見さんの顔があったものだから、そそくさと目を逸らした。
急加速で心音が刻まれていく。
「目を逸らすな」
そう言われたからといって、風見さんに素直に目を合わせられない。
高鳴っていく鼓動は不安のせいなのか、期待なのか、自分でもわからずに戸惑う。
いつまでも視線を逸らし続けていると、風見さんは私の頬に手を添えて強引に目を合わせた。