【3/9】
「あ、伊原。おかえり。」
教室には私とその人の2人だけ。
教室の中央あたりで私に微笑見かけるのは
「……明智先生」
最後に話をしようと思っていた その人。
「いや〜、職員室に帰ろうかとも思ったんだけど 鞄が心配でさ。
ほら 最後の最後に盗まれた、なんて後味悪すぎるだろ?」
私は是も非もせず、先生の元へ歩みを進める。
「……伊原?」
私はその人の正面で歩みを止めた。
「話があります。
長くなるかもしれなくても、聞いてくれますか?」
その人声は早口で、緊張のせいか震えていた。
「何の話?」
「きっと先生を困らせるような話です。
それでも聴いてくれますか?」
真剣な面持ちで頷いた。
意を決して 口を開く。