きっと、ずっと、恋だった。



「俺の方が彼女できないよ」


「なにそれ、嫌味ー?」



「…片想い拗らせて、結局言えなくなるタイプだから」




すこし眉を下げて、寂しそうに笑うその横顔に。

ほらまた、息ができなくなる。





誰に片想いしてるの?

誰が秋樹に、こんな顔させられるの?




知らない誰かを想って切なげな表情を見せる秋樹に、泣きたくなったのは私の方だ。





「…コンビニ、私も行く」



私の家の前。

立ち止まった秋樹に、そう呟いた。




「え、芹奈も?」

「私も買うものあるから」


「…じゃあ、行こう」




その声がやけに優しく、痛く、私の胸にじわりと沁みた。




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