きっと、ずっと、恋だった。



そして顔を上げた芹奈の、潤んだ瞳に。


桜みたいな色の、柔らかい頬に。


ぷるぷるのその唇に。




あの日と同じように、あの日みたいに。


吸い込まれるように、引き寄せられるように身体が近付いて。





そっと触れた唇は柔らかくて、温かくて。



あの日できなかったキスも今となってはいい思い出かもしれないな、なんて都合のいいこと考えた。


目が合った瞬間、恥ずかしそうに笑ってうつむくところが、かわいい。





「わ、私ね!カレー作ろうと思ったらルーを買い忘れちゃってホワイトシチューにしようと思ったんだけど焦げてホワイトじゃなくなっちゃったの。ぱっと見カレー?みたいな」


「…なんで今その話したの?」


「いやー…はは」


「照れ隠し下手すぎでしょ、ばか」


「う、うるさいなぁ…」




これから先、いつまでだってきみの隣にいられるように。


今度ホワイトシチューでも練習して作ってあげたらきみは太陽みたいにきらきら笑ってくれるんだろうか。




ーーー『秋樹の写真って魔法みたい』



きみがそう信じてくれるのなら、魔法使いにだってなれる気がした。








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