Miss you・・・
「30分経っても風呂から出てこなかったら、俺が見に行くからな」と蘇我さんに脅されていたので、私は手早くお風呂を済ませた。

相変わらず蘇我さんの言い方は怖いけど、そう言ったのは、私が今にも眠りそうな顔をしていたからに違いない。
ここでまた病院送りになってしまったら、本当に申し訳ないもんね。

私は余力で歯磨きを済ませると、置いてあったドライヤーで髪を乾かした。
フワフワのグレーのタオル同様、いつの間にか蘇我さんが用意してくれていたものだ。
あんなに髪が短かったら、ドライヤー使う必要はないのに。
と思って、私はハッとした。

「彼女」という存在を、すっかり忘れていたことに気がついたのだ。
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