15歳、今この瞬間を
懲りずにあたしを呼び続ける佐久田くんの声が、突っ伏した頭の後ろから入ってくる。

なぜだろう…心地良い声だった。

「井上さーん。夢希ちゃーん。ゆーきー」

まだ諦めない佐久田くんに降参したわけじゃないけど、あたしは一言だけ言いたくて頭を上げた。

「夢希って呼ばないで」

「え…」

佐久田くんは呆気にとられているけど、そんなことは関係ない。

あたしは自分の名前がキライだから呼ばないでほしい、それだけのこと。

あたしは再び机に突っ伏して、外の世界を遮断した。

それなのに、

「ねぇ、オレ何かしたー?」

「……」

「夢希ー?ゆーきーちゃーん」

真っすぐなその声は、迷わずあたしに降りそそぐ。

シカトしながら様子を伺うあたしの耳に、もうひとりの知ってる声が入ってきた。

「ロウどうした?」

菊谷くんだ。


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