15歳、今この瞬間を
「じゃあ夢希も誘って勉強しようぜ!あいつ、来ていきなりテストじゃ大変だろうからさ」

「あぁ、そうだな」

ロウは歯を見せて、パァっと効果音がつきそうな笑顔を俺に向けていた。

そのバカみたいに明るい笑顔を見てると、俺はたまらなくイラつく。

何にも考えていないんじゃないかと、全てを忘れてしまったんじゃないかと、ロウを取っ捕まえて怒鳴りたくなる。

「リョウはいいよなー頭良くて」


…俺は、ありさのために努力したんだ。

「まぁな!」

色々な想いを隠した俺は、いつもの調子でロウに笑顔を返した。

ロウの中では、ありさは過去になってしまったんだろうか…そんな寂しさにも似た怒りが、俺の中から溢れ出てきそうだった。


俺は、一瞬だってありさのことを忘れたことなんかないのにーーー。







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