全て美味しく頂きます。
 能天気な奴。
 黙ってればモテるんだろうに、喋り出すと途端に変なヤツ、だもんね。

 オニギリとおでんに交互にがっついている祥善寺を苦笑いで眺めながら、ビール缶に口をつける。

 にしても、なんて美味しそうに食べるんだろう。

 その様をぼんやりと眺めていた私の口から、つい余計な言葉がついて出た。

「___杉原さんは…こういうのキライなんだよね」

「ふうん…」

 しまった。
 しんみりとしてしまった空気に、私はすぐに後悔した。

 と。おでんを頬張っていた彼がぽつっと言った。

「俺は__好きだけどな…
 おかわり、もらうな」
「え?ああ、いいわよ。
 って…
 待ってよそれ、私のっ」

「黙れ。オマエのものは俺のモノだ!」
「なんだと、オニギリ返せ~~っ」

「キャーイヤーっ、長谷川に襲われる~~」
「襲うかッ」
< 16 / 44 >

この作品をシェア

pagetop