少年Sの恋路の行方は
 
しおりボックスのしおりは、すべて図書委員の手作りだ。

いつから始まった取り組みなのかはわからないけど、中には大分古いものもある。

ずっと昔の先輩の頃から続いているのだろう。

作り方に特別なルールはない。

ただ一つ、何か一言残すこと。それだけだ。

「『隣の家に子猫が生まれました。白くて小さい可愛い女の子です。元気に育ってほしいな』……っと」

書き終わって、一番下に今日の日付を入れる。

それをカウンターの端に寄せて乾かしながら、次のしおりに取り掛かる。

残すメッセージは自由だ。

だから、誰かの格言を記す人も居れば、自分のモットーや口癖を書いたりする人も居る。

けれど大抵は、作らなければならないしおりの数に圧倒されて、最近あったことなどを書くことが多い。

私も最初は、押し花を作ってビニールで挟んでいたけれど、今ではもうそんなに手の込んだことはやっていない。

実を言うと、出来の良いしおりはなくなる確率が高いのだ。

実際に私のしおりもいくつかボックスからなくなっている。

気に入った人がそのまま持ち続けているのだと思うと、少し誇らしい気がしてしまうのが困りものだ。

そんなこんなで、今日もせっせとしおりを作っていく。

「――出来た!」

「お疲れ様」

ノルマの最後の一枚が出来、思わず声を小さな歓声を上げた私に返事が返ってくる。

驚いて顔を上げると、同じクラスの志藤(しどう)君が立っていた。

 
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