愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

いわゆる逆恨みというやつだろうか?

そんな彼女の真実に驚きつつも、何だか次第に拍子抜け。彼女に対して意外にも可愛いだなんていう感情が涌き出てくる。

だってそっぽを向いた横顔がほのかに赤い。
いや、耳まで赤くなっている。

そんな姿を見ちゃったら、もう最初の頃のキツイだけのイメージがガラガラと崩れていくような気がした。


「あの、コウさんに対しての未練は…」

「あるわけないでしょ。私は旦那一筋よ」


バンっと勢いよく机に手を付き、再びこっちに視線を戻した彼女が侵害だと言わんばかりの表情をよこす。


「私はね、自分がやられて嫌なことは他人にもしない主義なのよ!」


その勢いは見事なものだった。

さすが刑事さんと思わせるほどの演説ぶり。

今のは一本筋が通っていて説得力がある。

ていうより、やっぱりこの人悪い人じゃない気がする。

言い方や目付きがキツイだけで本当のところはけっこう優しい人なんじゃないのかな?


「ふっ、ありがとうございます」

「何が可笑しいのよ」

「なんだかコウさんに似てるなぁ、と」

「やめてよ。あんなのと一緒にしないで」

「ふふ…」


さすが同士だけのことはある。

どことなくだけど不器用な優しさが似てる気がして、きっとこの場にコウさんが居たら同じ台詞を言って嫌そうな顔を向けてる気がするもん。

そう思ったら余計に彼女に対しての見方が変わってのいく。不愉快な思いが消えていくような気がした。
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