愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

それから砕けた雰囲気になったところで、けっこうな時間彼女と話してしまった。


名前は彩香さん。

旦那さんはなんと医者らしい。

そしてこの際ここぞとばかりに普段聞けない警察署内のことを聞いたりして、気づけばコウさんと離れてからけっこうな時間になっている。


「あの、とりあえずありがとうございます。色々と勉強になりました」


いつの間にか彼女への警戒心は薄れ、お酒を飲みつつガッツリガールズトークまでしてしまった。
時々そこへ弦さんも話に割って入りながら、私はというと一つだけ安心したことが。

それはコウさんが新しい役職につけば、今よりも現場に出る回数がぐっと減るということだ。

基本デスクワークの仕事が主になるみたいで、これからは上から皆を指示する立場になり、今までより危険な状況から離れるということ。

それを聞いた私は素直に「良かった」と呟き、コウさんがちゃんと食べてしっかり寝てくれれば安心です。
と心からの笑みを浮かべた。

それを見た彼女がなぜかふいに動きを止め、物珍しいものを見るかのようにじっと真っ直ぐ見つめてくる。


「…なるほど…、晃一はこういう打算的じゃない純粋なところにやられたってわけね」


私を置いてけぼりにして、一人「ふ〜ん」と納得したように頷いている。

そこへ弦さんまでも全て分かった素振りで会話を楽しみながら言葉を弾ませる。


「嬢ちゃんはその辺の女と一味違うからなぁ。他とは違う隠し味とスパイスを持ってるし、あいつもそこに嵌まってるんじゃねぇか?」

「そう、ね。正直私も嫌いじゃないわ……」
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