愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
その言葉を聞いた瞬間目を見開き、思わず固まってしまった。
そのまま不覚にもポッと顔が赤くなる。
「将来って……」
「何を照れてるのよ。今更でしょ?あなたね、よーく考えてみなさいよ。34才の男を捕まえといてその反応はないでしょ」
彩香さんの表情が呆れたものに変わる。
私はただただ顔を赤らめて、その意味を頭の中でひたすらに整理する。
だってそれはつまりコウさんと私が…
そこまで思いを巡らせて、ひゃぁーと恥ずかしさが込み上げてきた時、「おい」と急に肩を叩かれる。
それにまたびくっと過剰反応をしてしまい、ハッと後ろに振り替えるとそこにはなんとコウさんの姿が…
たった今話題に出てた人物が真後ろにいるんだもん。思わず「ぎゃっ」と叫んでしまった。
「つーかなんだそれは。まるでお化けでも見るかのような反応は」
当たり前だけどそんな私の様子を見て、コウさんの眉間にくっきり皺が寄る。
「だって急に現れるから…」
だってまさかコウさんの話で盛り上がってたなんて言えない。言えやしないもん。
「それより梨央、俺をほったらかにして何してる?」
そして隣の彩香さんの方に目を向けた。
これにはコウさんも驚いたようで、その瞬間目を細めた彼の眉間の皺がより深く刻まれていくのを見逃さなかった。