愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
その言葉に「えっ…」と瞬きをすると、彼女はまたしてもそっぽを向き、耳を赤くさせていた。
「私もこんな短時間で同姓と打ち解けたことなんて初めてよ…」
ボソッと言われた言葉に妙な喜びを感じた。
それってつまり、私のことをちゃんと認めてくれたみたいだもん。
彼女も私に対して同じように打ち解けてくれたんだって思えたら、そりゃ嬉しくもなるよ。
「やっぱり彩香さん可愛い……」
「ちょっ…!」
「はは、あれだな。前から思ってたけど嬢ちゃんは年上から可愛がられるタイプだよなぁ」
「それって弦さんもですか?」
「俺はどちらかと言うと娘みたいな感覚だな」
「なるほど」
弦さんには別れた奥さんとの間に娘さんが二人いるらしい。
年齢もちょうど自分と近いらしいのを前に聞いて知っている。
私が笑顔を向けていると、すぐに隣から「ふっと」謎めいた含み笑いが飛んでくる。
「晃一が今回の昇進を決めた理由が何となく分かった気がしたわ」
「えっ?」
「あいつマジなのよ。あなたに相当本気だっていうことね」
「それってどういう……」
「考えるまでもないでしょ?晃一はちゃんとあなたとの将来も考えてる。でなかったら、きっと今回の昇進の話も受けてなかったんじゃないかしら?」