五感のキオク~好みの彼に出会ったら~



「あはは、ごめんごめん」


なんとなく謝った私に、ますますふてくされる同僚。


「ごめんなんて言葉欲しくねーよ」


そう、だよね

だけどね。

今のあなたすごくかわいい。




最初からそんな姿見せてくれたら……

いや、きっとあの頃の私は気付かなかった。


見た目が好みだと思ったあの人に会ったからこそわかる。


今だからこそ、



「ふふ、ごめんね。気付かなくて」

「全くだよ……おまえ、まじで男らし過ぎて―――」
「でも。そんな所が良かったんでしょう?」


絶句している同僚。

だってこれが私だから。


彼の間近まで顔を寄せて、目を見つめて言う。


「私に気付いてくれてありがとう」


ありがとう。

私の気持ちを気付かせてくれて。

本当は気付かせてくれたのは同僚ではなく、彼なんだけど。

でもそのきっかけを作ってくれたのは同僚。



キョトンとしている彼にさらに距離を縮めて口付けた。
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