君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
「澪音、今はそんなこと言ってる場合じゃ……」


「俺にとっては緊急の事案だ。あの男に柚葉を連れて行かせる気はないよ。ウィーンにはいつか一緒に行こうと言ったろ。

オーディションには必ず受かれ」


その時に澪音が連絡したお医者さんと救急スタッフが駆けつけて、澪音を病院に連れて行った。


私はそのスタッフの一人に必死に食い下がって、澪音の搬送先の病院を聞き出して付いていく。澪音に問題ないことが分かるまでは、いてもたってもいられない。


しかし、いつまで経っても澪音が関係者外秘の部屋から出てくることはなく、私は朝になっても焦れったい思いで待合室にいた。


「ただの怪我なら、こんなに長く処置が必要にはならないよね……

もしかして……」


嫌な想像が沸いてくるのを必死に振り払う。


大丈夫だよね……?


どうかお願い。



本来ならオーディションのために出発している時間をとっくに過ぎても、私はここを動けなかった。

澪音は絶対に受かれと言っていたけど、オーディションよりも私には澪音の方がずっと大事だ。



やがて弥太郎さんが駆けつけて、私の姿を見つけると意外にもコーヒーを差し出してくれた。


「……ありがとうございます」


『その服装は、メイド志願か?』


こんな事態なのに、携帯画面で呑気な質問を見せられて脱力する。


「これは私のバイト先の制服ですけど、今はそんな疑問どうでも良くないですか!?澪音が大変な時に……!

夜中からずっと治療から出てこないんです。

もし何かあったら私は……。

私なんかのせいで、澪音に何かあったら……」
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