君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
『幼少の頃から、少なくとも澪音が日本で過ごしていた高校の頃まで、周りにもはっきりとわかるほど澪音はかぐやに惚れていた』
「なんて一途な……」
『俺が長男というだけで、かぐやと婚約しているのが後ろめたかったほどだ。
かぐやと二人で、澪音には困ったものだとよく話していた』
「でも、お二人は恋人同士だったんですよね?」
弥太郎さんは自分のことについてはあまり話したくないようで、途端に渋い顔になって言葉が鈍る。
『立場が似てるからか、気は合った。
かぐやは父親に似て気性は荒いが、良い女だと思う』
「そういえば澪音も、かぐやさんを怖いと言っていましたけど……」
弥太郎さんは少しだけ笑って補足した。
『かぐやの父親は青山財閥の会長で、激昂すると相手にワインをかけることで有名。
あいつは、その血筋をありありと感じる性格だ』
「そんなに……?」
真顔で頷く弥太郎さん。元恋人の弥太郎さんにさえ気性が荒いと言われるかぐや姫は、一体どんな人なんだろう。
さっき、かぐや姫が澪音の部屋の扉を閉めた時の挑発的な表情を思い出す。
『ともかく、俺は澪音にしてやれるせめてもの償いとして、かぐやを澪音に譲るつもりだ。
澪音とかぐやの婚約破棄はさせない』
弥太郎さんに見据えられて、ごくっと唾を飲み込んだ。弥太郎さんは、きっとこの事を伝えるために今までの話をしてきたんだ。
「なんて一途な……」
『俺が長男というだけで、かぐやと婚約しているのが後ろめたかったほどだ。
かぐやと二人で、澪音には困ったものだとよく話していた』
「でも、お二人は恋人同士だったんですよね?」
弥太郎さんは自分のことについてはあまり話したくないようで、途端に渋い顔になって言葉が鈍る。
『立場が似てるからか、気は合った。
かぐやは父親に似て気性は荒いが、良い女だと思う』
「そういえば澪音も、かぐやさんを怖いと言っていましたけど……」
弥太郎さんは少しだけ笑って補足した。
『かぐやの父親は青山財閥の会長で、激昂すると相手にワインをかけることで有名。
あいつは、その血筋をありありと感じる性格だ』
「そんなに……?」
真顔で頷く弥太郎さん。元恋人の弥太郎さんにさえ気性が荒いと言われるかぐや姫は、一体どんな人なんだろう。
さっき、かぐや姫が澪音の部屋の扉を閉めた時の挑発的な表情を思い出す。
『ともかく、俺は澪音にしてやれるせめてもの償いとして、かぐやを澪音に譲るつもりだ。
澪音とかぐやの婚約破棄はさせない』
弥太郎さんに見据えられて、ごくっと唾を飲み込んだ。弥太郎さんは、きっとこの事を伝えるために今までの話をしてきたんだ。