千秋先輩。その鈍感、本気ですか?
「あれっ、綾乃ちゃんと愛海ちゃん?」



「あっ、お久しぶりです、元キャプテン!!」

眼鏡の落ち着いた先輩。…本当に七菜先輩と付き合ってるイメージが湧かない。
引退ぶりに話すから、1カ月ちょっとしか話してない先輩が私のこと覚えてるなんて変な感じがする。



「久しぶり。ねえねえ二人とも千秋見た?」



「さっき宣伝で歩いてましたよ!」



「ああ、じゃあ見たんだ。やばかったよね。まあ、俺らも去年同じようなことしたしあんま悪く言えないんだけど」



「先輩たちも女装されたんですか!?」



「そうそう。去年は委員とかやってなかったから部活でも出店やってたんだよ。フリースローみたいなやつ。で。俺らの学年が全員女装」



「へーっ!そうなんですね!」
ふと、先輩の隣の人と目が合う。前も委員会にいた人だ。
茶髪のふわっとしたキャラメルみたいな茶髪。小柄で華奢で……
やっぱりどっかで見たことあるような……?


気が付いた先輩が声をかける。
「冬馬!この子達、俺の後輩の愛海ちゃんと綾乃ちゃん。ほら、寺原さんの妹。で、2人とも。こいつが俺の友達の瀬尾冬馬。ごめんね?誰か分かんないの気になるよな」



「あっ、お姉ちゃんの知り合いなんですか?」
そういえばこの人、何回かお姉ちゃんと話してるの見たことある!




「知り合いっていうか…」
瀬尾先輩は気まずそうに目を逸らす。

隣で愛海ちゃんが「あっ」と声を挙げた。


「愛海ちゃん?」



「瀬尾先輩‼」
愛海ちゃんはずいっと瀬尾先輩に近づく。


「先輩も私と一緒に『告白大会』一緒に出ましょう!!」
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