キスから始まる……!「イケメン御曹司とキスして、フォーリンラブ!」

追いかけて行って、駐車場に止められた車に近づく。

「あの…乗るためだけに、駐車をしなくても……」

乗り込みながら、恐縮して言うと、

「ん? 何が?」

と、そんなことは微塵も気にしていない素振りで返された。

私がシートベルトを締めたのを見届けると、

「それじゃ、行こうか」

あっさりと車が発進させられる。

……本当に、駐車場から出るんだ……と、思う。

私だったら、たったこれだけのために車を止めるのとか、絶対もったいないと思うのに、

この人にとっては、そういうことも大したことでもないんだ……。

そう考えると、改めて彼との価値観の違いを見せつけられた気もした。


< 25 / 157 >

この作品をシェア

pagetop