キスから始まる……!「イケメン御曹司とキスして、フォーリンラブ!」
追いかけて行って、駐車場に止められた車に近づく。
「あの…乗るためだけに、駐車をしなくても……」
乗り込みながら、恐縮して言うと、
「ん? 何が?」
と、そんなことは微塵も気にしていない素振りで返された。
私がシートベルトを締めたのを見届けると、
「それじゃ、行こうか」
あっさりと車が発進させられる。
……本当に、駐車場から出るんだ……と、思う。
私だったら、たったこれだけのために車を止めるのとか、絶対もったいないと思うのに、
この人にとっては、そういうことも大したことでもないんだ……。
そう考えると、改めて彼との価値観の違いを見せつけられた気もした。