キスから始まる……!「イケメン御曹司とキスして、フォーリンラブ!」
「……あの、今日はありがとうございます」
緊張で強張っていた身体がようやく座席に馴染んできて、誘ってもらったお礼を言い、
「それで、これから何処に行くんですか?」
尋ねる。
「うーん、何処に行こうか? 行きたいところとかあるか?」
「え…」
誘ってきたのに、何も決めてなかったんだと思う。
……本当に、名刺が目に入ったってだけで、行き当たりばったりで連絡してきたんだ……。
「……何、どうかした?」
「ああ…いえ…」
いちいち沈みがちにもなる気分に、あんまり期待ばっかりしてもしょうがないし、今日は単純に楽しもうかな……と、
そう思って、
「行き先を決めないで、ドライブでもいいです。走ってる内に、行きたいところもできるかもしれないですし」
返事をすると、
「わかった。なら、そうしようか」
と、ふっと笑った。