キスから始まる……!「イケメン御曹司とキスして、フォーリンラブ!」
「もういいのか? もっと食べてもかまわないが」
「いえ、もう……」
その笑い顔は格好良すぎて絶対にズルいと、もう一度思いながら、赤らんだ顔をうつむけると、
「そうなのか? おまえって、美味しそうに食べるよな。本当に幸せそうな顔をして」
言われて、
「……"おまえ"って、」
と、まださして親しくもないのにと引っかかる。
「ああ、悪いな。君、名前はなんて言うんだよ? 俺は……」
言いながら、胸ポケットを探って名刺を一枚取り出すと、スッとテーブルを滑らせて渡してきた。
手に取って見てみると、
『ーー代表取締役 専務
都築 悟(つづき さとる)』
と、記されていた。