宵の朔に-主さまの気まぐれ-
話が終わった後凶姫の部屋へ行くと、凶姫はもりもり夕餉を食べていて、食欲旺盛な様に朔が吹き出した。
「一気に食べすぎると腹壊すぞ」
「早く動けるようになりたいの。でも…怖くて傷は見れないのよね。どう?少しは塞がってる?」
上半身は胸にさらしを巻いただけなので、細身の割には大きな胸や細すぎる腰がどうしても目に入る。
朔が密かに戸惑っていると、息吹が朔の手を引いて枕元に座り、傷口を見て微笑んだ。
「うん、治ってきてるよ。沢山食べればもっと早く良くなるからね。私も毎日ご飯作りに来るから」
「えっ?息吹さんが…毎日?」
どうしたことか、息吹にとてもよく懐いている凶姫が顔を綻ばせると、朔はただ微笑んでいる柚葉の肩をぽんと叩いた。
「お前も一緒にここで食うといい。その方が互いに楽しいだろうから」
「はい。姫様、無理だけはしないで下さいよ。私、ずっと監視してますからね」
「分かってるわ」
――早く治りたいのは、朔が秘湯と呼んでいる温泉に入りたいから。
皆には言うなと釘を刺されているためそれを柚葉にも言うことができず、凶姫はひたすら無言で料理を啄む。
「近いうちに"渡り”がけしかけて来るだろう。今夜百鬼の皆に事情を話す。そして結界を張り直す。…俺のせいですまなかった」
頭を下げた朔に箸が止まってしまった凶姫は、どぎまぎしながら背筋を正して頭を下げた。
「いいのよ、それに私が"渡り”をここに連れてきたようなものだわ。ごめんなさい。これからの分も謝るわ。本当にごめんなさい」
謝罪合戦になってしまったふたりを息吹と柚葉が顔を見合わせて同時に吹き出した。
「じゃあ朔ちゃんもあっちでご飯を食べましょう。お買い物してこなくちゃ!」
朗らかな息吹に皆が癒された。
「一気に食べすぎると腹壊すぞ」
「早く動けるようになりたいの。でも…怖くて傷は見れないのよね。どう?少しは塞がってる?」
上半身は胸にさらしを巻いただけなので、細身の割には大きな胸や細すぎる腰がどうしても目に入る。
朔が密かに戸惑っていると、息吹が朔の手を引いて枕元に座り、傷口を見て微笑んだ。
「うん、治ってきてるよ。沢山食べればもっと早く良くなるからね。私も毎日ご飯作りに来るから」
「えっ?息吹さんが…毎日?」
どうしたことか、息吹にとてもよく懐いている凶姫が顔を綻ばせると、朔はただ微笑んでいる柚葉の肩をぽんと叩いた。
「お前も一緒にここで食うといい。その方が互いに楽しいだろうから」
「はい。姫様、無理だけはしないで下さいよ。私、ずっと監視してますからね」
「分かってるわ」
――早く治りたいのは、朔が秘湯と呼んでいる温泉に入りたいから。
皆には言うなと釘を刺されているためそれを柚葉にも言うことができず、凶姫はひたすら無言で料理を啄む。
「近いうちに"渡り”がけしかけて来るだろう。今夜百鬼の皆に事情を話す。そして結界を張り直す。…俺のせいですまなかった」
頭を下げた朔に箸が止まってしまった凶姫は、どぎまぎしながら背筋を正して頭を下げた。
「いいのよ、それに私が"渡り”をここに連れてきたようなものだわ。ごめんなさい。これからの分も謝るわ。本当にごめんなさい」
謝罪合戦になってしまったふたりを息吹と柚葉が顔を見合わせて同時に吹き出した。
「じゃあ朔ちゃんもあっちでご飯を食べましょう。お買い物してこなくちゃ!」
朗らかな息吹に皆が癒された。