宵の朔に-主さまの気まぐれ-
暁は早速大人気となった。

特に白雷と氷輪の喜びようは予想以上で、暁を代わる代わる抱っこしては話しかけ続けていた。


「お前ら暁に夢中だなあ、どうした?」


「だって当主になるじゃんー?俺たちの世代が側近だろー?そんで俺の嫁になるかもしれないだろー?」


白雷の仰天発言に雪男が目を見張り、朔はにっこり笑いながら白雷の腕からさっと暁を奪い取った。


「誰の嫁になるかもしれないだと?主君に手を出す側近が居るか、俺が許さない」


「でも主君の妹に手を出した奴だって居るんだし―。変わんねーよ」


なお食い下がる白雷ととばっちりを食らった形の雪男が睨み合うと、屋根の上に居た銀がからから笑った。


「うちの息子も居るぞ。いやあ、すでにもてもてだな」


「雪男…頼んだぞ」


やけに真剣な顔で朔に暁を託された形になった雪男は、朔から暁を受け取って顔を覗き込んだ。

するとにこーっと笑いかけられて、きゅん。


「小さい頃の息吹…いや、朧に似てるなあ」


「この子ったら夜泣きもしないし、とにかくよく寝るの。お乳もよく飲むし」


「姫様っ、次はこのおくるみを!これ両手出せるんですよっ、私が着せてあげましょうかっ!?」


今度は柚葉が鼻息荒く暁を雪男から受け取って、生まれてきたら着てもらおうとせっせと作り続けてきたおくるみや肌着を居間に広げた。


誰に抱っこされても、全く泣かない。

その大物っぷりに息吹は十六夜に寄りかかりながらふふっと笑った。


「小さい時の朔ちゃんみたいだよね。朔ちゃんも全然泣かなかったし、夜泣きもしなかったから」


「でも輝夜はよく泣いてた気がするけど」


「ははは、昔私は泣き虫だったので」


大きな欠伸をした暁が着替えを終えて凶姫の腕に戻って来ると、十六夜は煙管の煙を凶姫の居る反対方向に吐きながらにこにこしている朔に伝えた。


「朔、明日幽玄町及び朝廷と内裏に知らせる。特に朝廷の連中らは知らせておかないとうるさいからな」


「はい、分かりました」


いよいよ、発表の時を迎えた。

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