宵の朔に-主さまの気まぐれ-
柚葉が話をしてくれず、その理由を問い質そうにも避けられてしまって追及できなかった朔は、雪男と朧が戻って来るなり雪男の首根っこを摑まえて自室に連れ込んだ。
「な、なんだなんだ!?どした!?」
「柚葉の様子がおかしい」
「はあ?具合が悪いとかそういうことか?」
困惑して首を傾げる雪男の肩を押して無理矢理座らせた朔は、口をへの字に曲げて腕を組んだ。
「柚葉は自分の身体の傷は治せないからその可能性もあるが…どうにも俺を避けている節が…」
「…ははーん」
「なんなんだ?言ってみろ」
「いーや?主さまさあ…意外と鈍感…ぐぅっ!ま、待て待て!待って!首絞まってる!」
何か勘付いているのにそれを教えてくれない雪男に業を煮やした朔は雪男の首を絞めながらぐっと顔を近付けて唇を尖らせた。
「言え」
「もう…乱暴だなあ…。柚葉は戸惑ってるだけだろ。狭い世界で生きてきて、そこから主さまに救われて、逃げ出した場所に戻って来てしまった…そりゃどうしていいか分からなくもなるぜ」
「そうか…。俺はあまり構わない方がいいのか?」
「逆にさあ、主さまは構いたいわけ?」
――手を離した朔は腕を組んでそれを考えたが…柚葉の存在はあの頃と変わらず貴重だと思えるし、大切にしたい。
さっきはまるでどこかへ行くような独り言を言っていたから余計に気になって、寝るどころの話ではなかった。
「構いたい」
「凶姫のことも?」
「もちろん」
「ははあ…難儀だなあ…。ま、どっちも嫁さんに貰えばいいじゃん」
「話が飛躍してるぞ。どこをどうすればそこに繋がるんだ」
「いやあ、主さまやっぱどんか……ぐぉぉっ、絞まってる!絞まってる!!」
ご丁寧に手で袖を握って火傷しないように首を絞められて、苦しいがにやにやが止まらない雪男。
「ま、ふたりとよく話をすることだな。これ大人の助言だから」
「ふん、女遊びが過ぎて達観した奴の助言だろ」
時々子供っぽくなる朔に目を細めてまたにやにや。
その顔が気に入らず、朔の手はますます強く雪男の首を絞めるのであった。
「な、なんだなんだ!?どした!?」
「柚葉の様子がおかしい」
「はあ?具合が悪いとかそういうことか?」
困惑して首を傾げる雪男の肩を押して無理矢理座らせた朔は、口をへの字に曲げて腕を組んだ。
「柚葉は自分の身体の傷は治せないからその可能性もあるが…どうにも俺を避けている節が…」
「…ははーん」
「なんなんだ?言ってみろ」
「いーや?主さまさあ…意外と鈍感…ぐぅっ!ま、待て待て!待って!首絞まってる!」
何か勘付いているのにそれを教えてくれない雪男に業を煮やした朔は雪男の首を絞めながらぐっと顔を近付けて唇を尖らせた。
「言え」
「もう…乱暴だなあ…。柚葉は戸惑ってるだけだろ。狭い世界で生きてきて、そこから主さまに救われて、逃げ出した場所に戻って来てしまった…そりゃどうしていいか分からなくもなるぜ」
「そうか…。俺はあまり構わない方がいいのか?」
「逆にさあ、主さまは構いたいわけ?」
――手を離した朔は腕を組んでそれを考えたが…柚葉の存在はあの頃と変わらず貴重だと思えるし、大切にしたい。
さっきはまるでどこかへ行くような独り言を言っていたから余計に気になって、寝るどころの話ではなかった。
「構いたい」
「凶姫のことも?」
「もちろん」
「ははあ…難儀だなあ…。ま、どっちも嫁さんに貰えばいいじゃん」
「話が飛躍してるぞ。どこをどうすればそこに繋がるんだ」
「いやあ、主さまやっぱどんか……ぐぉぉっ、絞まってる!絞まってる!!」
ご丁寧に手で袖を握って火傷しないように首を絞められて、苦しいがにやにやが止まらない雪男。
「ま、ふたりとよく話をすることだな。これ大人の助言だから」
「ふん、女遊びが過ぎて達観した奴の助言だろ」
時々子供っぽくなる朔に目を細めてまたにやにや。
その顔が気に入らず、朔の手はますます強く雪男の首を絞めるのであった。