X'masの奇跡
「桐島さんっ、
希望の日があるんですけど、

12月25日って、空いてますか?」




"えっ"

莉菜が ふたりで決めもせずに突然に言った日にちに、
優斗は、酷く驚いた。





桐島は、微笑んで応える。

「あぁ!クリスマスに!
素敵ですねぇ」

「えぇ。
人気がありそうだから 希望される方、多いでしょうけど」

「えぇっと…、お調べ致しますね」

「はいっ。
空いてたら その日の予約で、お願いしますっ」




「ちょ、ちょっと待って」


勝手に進む会話に、優斗は、慌てて言葉を挟んだ。


「おいっ、勝手に決めるなよっ。

俺たちで話し合ってからだろっ」




揉めだしたカップルを目の当たりにし、
桐島は、困惑げに様子を伺う。



莉菜は、強引に言葉を続けた。


「あっ、すみませんねぇ。

その日で お願いします」


「宜しいですか?」


「いいんですっ。
彼、わたしの希望はきいてくれますから」



「‥、、宜しいんですか??」



話を進める莉菜。  窺う桐島。

優斗は、きっぱりと制した。



「いえっ、すみません。

12月25日は、希望しません。

日にちは 改めて言いますので、

そのときは、宜しくお願いします」




優斗は、式場プランナーには礼儀良く告げ、

莉菜には 腹を立てたまま、

下見の式場を 後にした。




こんなに怒った優斗を見たのは初めてだった莉菜は、

歩き出す優斗の後ろ姿を茫然と見ながら

優斗の後に続いて 式場を後にした。


















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